お店紹介と未来のシェフへのアドバイス

テーブル・トーク 菊地 美升氏インタビュー

六本木にあるフレンチレストラン「ル・ブルギニオン」のオーナーシェフ、菊地美升さんのインタビュー第2弾。 今回は、「ル・ブルギニオン」についてやこれから料理を目指す人へのアドバイスなど伺いました。

フランスから帰国し、「ル・ブルギニオン」をオープンしたのは、今から8年前ですね。目標だったご自身のお店を持った今、どんなお店でありたいと考えていらっしゃいますか?

いちばんに願っていることは、お客様が心から料理を楽しめ、食事を楽しめる店であること。お店に来ていただいた方すべてに、"いい時間"を過ごしていただきたいと思っています。そのためには、料理の味はもちろん、お店の雰囲気が大切。だから、調理やサービスのスタッフにも気持ちよく仕事をしてほしいと考えています。スタッフの関係が悪いと、その雰囲気は必ずお客様に伝わってしまいますからね。

居心地のいい空間の中で味わっていただく料理は、やはり、クラシックなフランス料理。現在、東京にはいろんなスタイルのフレンチが存在しますが、僕の料理の核にあるのは、日本での2人の師匠と、本場フランスのレストランから学んだクラシックなフレンチスタイルなんです。僕が得意とするジビエ料理も、そんなフランス料理の代表といえるでしょう。

「ル・ブルギニオン」といえば、ワインが充実している店としても有名ですが…。

ワインセラーには、約4000本のワインが。その90%がブルゴーニュです。ブルゴーニュのワインは、ブドウ本来の力と、土のエネルギーを感じられるところが魅力で、フランス生活ですっかり魅せられてしまったんですよ。ボリューム感のあるボルドーに対し、ブルゴーニュは、やさしさ、可愛らしさ、力強さなど、いろんな顔をもっているのが特徴ですね。今でも、年に1回はブルゴーニュのシャトーを訪ね、本場のワインに触れに行きます。お店には、ワインを楽しみにいらっしゃるお客様も多いですが、ワインに詳しくないお客様もご安心を。料理やご予算など、ご希望に合わせてチョイスさせていただきますから、気軽にご相談ください。

ところで、今、若い人の間で料理人はあこがれの職業のひとつになっているようです。これから料理を目指す人に、何かアドバイスをいただけますか?

これは僕の経験からのアドバイスなのですが、とにかくへこたれることなく、頑張ってほしいですね。私も、修業時代は相当つらかった!でも、「やめずに頑張って本当によかった」と、今、心から思っています。知っておいてほしいのは、「どんな腕のいい料理人でも、最初からできる人はいない」ということ。始めたばかりの頃は、怒られることが多いと思いますが、それは作れないからで、当然のことなんです。そこで料理を嫌いにならずに頑張ることができれば、自然といろんなことがわかってくる。そうなったらしめたもの。そのうち、さまざまな仕事を任されるようになり、自信がついてくると思います。少しできるようになると、時々、まかない料理を作れるようになってね。自分が作ったまかないをシェフにほめられたりしたら、最高に嬉しいワケですよ。実際、僕もそうでしたから、その気持ちはよくわかります。うちのお店でも、スタッフにはそうやって自分の料理を作る機会を与えています。

料理以外で、シェフに必要なことってあるのでしょうか?

いろんなことに興味を持つことは大切でしょうね。人に会ったり、本を読んだり、アートに触れたり、そういった一つ一つの刺激が、料理につながっていくと思います。たとえば、新しいレシピを作るときなんか、まさにそう。食材や料理ばかり見ていても、何も浮かばないことって、非常に多いんですよ。逆に、料理と関係ない人との会話や、一人でふらりと入った美術館で、新しいインスピレーションを得ることがある。不思議なものです。さらに、時間のあるとき、料理以外の興味を深めたり、趣味を楽しめたりできると、仕事もその延長で楽みながら取り組めるようになります。こうなったら強いですよね。何事も楽しめるような人のほうが、料理人という仕事には向いているんじゃないかな?



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