フランス料理に対するこだわり
テーブル・トーク 下村 浩司氏インタビュー
今年7月六本木に「エディション」をオープンさせたオーナーシェフ下村浩司さんのインタビュー第2弾。
今回は、下村シェフのフランス料理に対するこだわりについて伺いました。
20代の大半をフランスで過ごした下村シェフ。30歳で帰国し、独自のスタイルのフレンチを絶えず追求してきました。下村シェフが考えるフランス料理とは、どんなものなのでしょう。
それを語るとき、忘れてはならないのが、三ツ星レストラン「ラ・コートドール」のシェフ、ベルナール・ロワゾーとの出会いです。ロワゾーは、"フランス料理の神様"と呼ばれる人。僕は彼のあらゆることを吸収しようと、そばにつきっきりで仕事をしていました。3~4か月したころのある日のこと、僕は厨房の中でフランス料理の真髄を見ました。メインを作るロワゾーを中心に、オードブルからデザートまで。彼がその食材で何を表現したいのかが、瞬時にしてわかったのです。そして、ロワゾーの料理が何なのかを発見したのです。
具体的にいうと、それはどんな料理ですか?
ひと言でいうなら、「素材を生かす」「素材の味を殺さない」料理。ロワゾーの料理は、バターやクリームで素材を覆うようなことは決してしない。デザートにしても、決して砂糖に頼り過ぎないんです。以来、僕は、フランス料理で大切なのは、鶏を食べたら鶏の味、エビを食べたらエビの味がするということだと考えている。素材の味がバクハツするくらいでないとダメだと僕は思っています。でも、世の中には、料理のテクニックが先走って、素材を食べているのか、そのシェフのテクニックを食べているのかわからない料理が結構あるんです。これは真のフランス料理ではないと、僕は考えています。素材の命を頂く喜びを感じることこそ、フランス料理の真髄。素材の味の後押しをしてくれるのが、フランス料理だと僕は考えています。
今年7月、20歳のころからの目標だった自らの店「エディション」をオープンしましたね。このお店への思いをお聞かせください。
店名の"エディション(Edition)"というのは「版」という意味。つまり、「下村版」という意味です。料理はもちろん、内装、お皿、サービスまですべてが下村流、どこにも似た店のない店を作っていきたいと思います。まず、特徴的なのは、お店のメニュー。普通、メニューには、「オードブルは何」「メインの魚は何」…と、料理名が書かれていますよね。でも、この店のメニューには料理名が出ていません。そのお客様が何を食べたいのかスタッフがお聞きして、その方がお望みのものを食べていただく。もちろん、その日にある食材によってすべてのお望みがかなわないこともありますが、私も店のスタッフも、これを基本姿勢としてお料理を考えています。また、料理がおいしいというだけではなく、お店に来ていただいた方が「楽しかった」と記憶に留めてもらえる刺激的な演出をご提供したい。店のインテリア、器、盛り付け、サービスの間など、お店に入ってから出るまでの時間の中に、下村が考えたエキスをいっぱい盛り込んでいるんです。詳しいことは、ぜひ、一度、お店に食べに来て、実際に味わって楽しんでいただきたいですね。
下村 浩司さん
EdiTion Koji Shimomura
「エディション・コウジ シモムラ」



