マイユ豆知識 ビネガーとは

ワインを開栓したまま放置しておくと酸っぱくなってしまいますが、ビネガーという言葉は正にこの「酸っぱいワイン」(Vin aigre)に由来しています。一般にビネガーはワインから偶然に生まれたものと思われていますが、単にワインが変質したものではありません。 中世の時代、ビネガーの用途は多岐にわたり、飲料や調味料としてだけではなく、化粧水や内服薬、外用薬として、ペスト、発熱、へびの噛み傷などの治療にまで使われていました。ビネガー製法のメカニズムが分からなかったため、万能薬的な扱いを受けていたようです。

ヨーロッパでビネガー製造のメカニズムが解明されたのは、わずか19世紀半ばのこと。フランスの微生物学者、ルイ・パスツールはビネガーの製造には酵母の働きが必要であることを発見し、ビネガーの工業化に道を開きました。

さて、ビネガーとは何でしょうか?簡単に言えば、アルコール分のある液体を酢酸発酵させて作ったものがビネガー(酢)です。そのため、ビネガーはその国特産のアルコールから作られ、ヨーロッパではぶどう酒で作られたワインビネガーが、日本では日本酒から作られた米酢が一般的です。一般に、日本の米酢の酸度は4%、ヨーロッパの基準のワインビネガーは6%以上と、日本のお酢に比べると酸度が高いのが特徴です。


「良いビネガーの定義」

原料のアルコールがビネガーや酢の味と香りの決め手となります。そのため、フランスでは、よいワインの産地から良いビネガーが生まれるといわれています。マイユは、高級ワインの産地として名高いブルゴーニュ地方に拠点を構え、良質なワインを原料に使用し、香りを大切にして作られます。また、良いビネガーを作るには、自然のままというのではなく、自然と上手く調和できる環境を作ることが必要で、絶えず空気が送り込まれる特別な発酵槽で、酢酸発酵が行われています。細心の注意を持って作られたビネガーは、酸度は高いけれども刺激性は少なく、原料であるワインの香りや貯蔵に使われる木樽の香りが生かされているため、ふくよかで、まろやかな味わいのビネガーになります。

「ビネガーをおすすめする理由」

ビネガーには人体に有用な要素が多く含まれており、古来より健康と美容に良い飲料として飲まれていました。食欲増進や、消化を助ける役割に加え、ビネガーの主成分であるクエン酸など有機酸には、疲労物質である乳酸の分解をたすけ、老廃物がたまるのを防ぐ働きがあります。

ローマの兵士達は、この効用を利用し、行軍や遠征の時には“ポスカ”と呼ばれる、水とビネガーを混ぜた飲み物を持ち歩いていたとのことです。また、熱やアルカリに弱いという特徴を持つビタミンCを身体に吸収するには、酸を含むビネガーと一緒に調理することが効率的です。さらに、にんじんやきゅうりに含まれるビタミン破壊酵素(アスコルビナーゼ)は、酸性の中では働かなくなるため、生野菜をビネガーの入ったドレッシングで食べるのは、ビタミンCを吸収するのに、大変合理的な方法といえます。